「ロマン枠」の新人、西武・中塚駿太は大谷を超える球界最速王になるか

「いいんですかねぇ、こんなにマイペースで......」

 191センチ105キロの巨体からそんな本音が漏れて、思わず吹き出してしまった。

 高知県高知市春野町で始まった西武B班(二軍)の春季キャンプ。報道陣の姿もほとんどなく、観客もまばらな春野総合運動公園に、その大型ルーキーはいた。

 白鴎大からドラフト2位で西武に入団した中塚駿太。ドラフト1位の今井達也(作新学院高)、5位の平井克典(Honda鈴鹿)、6位の田村伊知郎(立教大)と同期の投手たちがA班スタートを切るなか、中塚は1月の新人合同自主トレ初日の時点で「リタイア」と報道されていた。

※今井は2月3日に右肩の張りを訴え、現在は二軍で調整中

「ランニングでへばって、倒れこむ写真が出ちゃったから『リタイア』なんて大げさに広まっちゃったけど、そこまでのことじゃないですよ」

 清川栄治二軍投手コーチはそうフォローするが、本来ならばドラフト2位の大卒新人ともなれば、「即戦力」の期待がかかりそうなもの。この「リタイア」報道に失望した西武ファンも多かったに違いない。

 しかし――アマチュア野球ファンのなかで、中塚を「即戦力」と見ていた人は皆無だったのではないだろうか。

 ドラフトの世界では最近「ロマン枠」という言葉を聞くようになった。ツボにはまった際のパフォーマンスはドラフト1位の目玉選手をもしのぐが、そんな日はめったに訪れない。それでも、ひとたび見た「夢」が忘れられない。追いかけていきたい......。そんな蠱惑的(こわくてき)な存在を「ロマン枠」と呼ぶ。

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