錦織圭、プレーで「試行錯誤」できる10年目のマイアミは我がホーム

 観客席にサインボールを打ち込むとき、軽くフェイントをかけてファンを沸かせては、茶目っ気にあふれた笑みをこぼす。最上段に飛んでいったボールを観客が見事にキャッチしたのを見届けると、ラケットを叩いて称賛の拍手を送る――。

 ビッグサーバーの難敵ケビン・アンダーソン(南アフリカ)に6−4、6−3で快勝した後ということを考えれば、錦織の笑顔も、当然と言えば当然かもしれない。それにしてもやはりマイアミでの彼は、先週までのインディアンウェルズ・マスターズよりもはるかに表情が、そしてコート上の姿が楽しそうに映る。試合前日の練習でも、詰めかけたファンへのサインや"自撮り"にも、こころよく応じる姿が印象的だった。

「準備もしっかりできていたので、今日はいい出だしでした」

 試合後の言葉にも、静かな自信がにじんでいた。

 3月のマイアミの風物詩とも言えるこのマスターズ大会は、錦織にとって特別な意味を持つ大会だ。14歳から拠点とするIMGアカデミーとは、クルマで4〜5時間の距離。17歳のときに全仏オープン優勝者であるグスタボ・クエルテン(ブラジル)と組み、ダブルスで同大会に出場したのが、彼にとっての"ATPツアーデビュー戦"でもあった。

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