今は新しい仲間と...。バレンティンとの短いハグが示す田中浩康の再出発

「不思議な感覚ですよね。僕は学生時代(早稲田大学)のときも、基本的には一塁側だったので......」

 感慨深い表情――4月1日、田中浩康はヤクルトとの試合終了後、ビジターチームのクラブハウスに引き上げる際、神宮球場の三塁側をゆっくりと歩きながらそう語った。「ヒロヤス、たのむぞ〜!」という今シーズンから田中を応援するファンの声がすぐそこに聞こえる。

 この日、横浜DeNAベイスターズは今シーズン初勝利を収め、田中は前日の開幕戦に引き続き、「6番・セカンド」でスタメン出場を果たした。奇しくも12年間過ごした古巣ヤクルトとの対戦。田中の名前が神宮球場に響き渡ると、DeNAファンはもちろんのこと、ヤクルトファンからも盛大な声援が沸いた。

 ビジターチームの選手として三塁側から見る一塁側の景色はどのようなものだったのか。

「新鮮な気持ちとは、まさにこういうことなんだなって。同じ場所なんだけど、向きが反対なだけでこうも違うのかって。本当に」

 田中は一塁側をちらりと見て苦笑する。そしてクラブハウスへとつづく通路の前で体を三塁側に向け、立ち止まってこう言った。

「なにはどうあれ、まずチームの1勝目の輪の中にいられたということがすごく嬉しい。勝利のために、とにかくこのチームに貢献したい」

 この日、田中は2−1とDeNAがリードの場面で迎えた6回表、ノーアウトランナー1塁の場面で送りバントを失敗し、ツーストライクと追い込まれるが、その後バスターでライト前ヒットを放つなどベテランらしくミスをフォローし追加点を演出。チームの勝利に貢献した。

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