「最もキャプテンに不向きな男」浅村栄斗を指名した西武の狙いとは

 史上初となった履正社との大阪決戦を制し、大阪桐蔭の優勝で幕を閉じたセンバツ高校野球大会。試合終了後、場内には西谷浩一監督に続き、キャプテン福井章吾の喜びの声が流れていた。ハツラツとした語りのなかに意志の強さ、秀でたキャプテンシーが伝わってくる。そんな頼れるキャプテンの姿を眺めながら、頭のなかには大阪桐蔭OBのもうひとりのキャプテンのことが浮かんでいた。

 その人物こそ、今年から埼玉西武ライオンズの新キャプテンとなった浅村栄斗(あさむら・ひでと)だ。浅村も高校時代の3年夏に全国制覇を経験している。1番・ショートとして30打数17安打。毎試合のようにチームを勢いづけたバッティングは実に鮮やかだった。ただ、浅村は言葉や行動でチームを引っ張るタイプではなかった。それどころか、奔放な一面があり、チームメイトが扱いに苦労した時期もあった。

 また取材でのことだが、雑談レベルではよく会話が続くのだが、あらたまって本題に入ると急に言葉数が減ることも一度や二度ではなかった。思い切りのいいプレースタイルとは違い、シャイな一面をのぞかせる選手だった。

 そんな浅村は、これまでキャプテンとは無縁の野球人生を送ってきた。父・哲弘さんの記憶によると、「小学4年でソフトボールを始めてから、キャプテンをやったことは一度もないはずです。基本的に前に出るタイプではなかったので......」ということらしい。

 浅村には8歳上と7歳上に兄が2人いる。哲弘さんは言う。

「上の2人に関しては、野球だけでなく、何もかも厳しくしましたけど、栄斗のときは構うこともなくて」

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