エスパルスを蘇らせた鄭大世の一撃。降格した2年前の脆さは消えた

 前半を終えた時点で、清水エスパルスにほとんど勝機はないように思われた。首位に立つ浦和レッズの本拠地に乗り込んだ一戦。開始30秒にいきなり決定機を作られると、その後も浦和のワイドな展開に対応できず、次々にサイドを崩されてピンチを招く。24分には右サイドをMF関根貴大に突かれ、エリア内でこぼれ球に反応したFW興梠慎三にオーバーヘッドを叩き込まれてしまった。

 1点を追いかける清水が、そこからどのような反攻を見せるのか。興味はそこに注がれたが、その後も浦和の攻勢が続き、清水はチャンスらしいチャンスを生み出せない。そこにあったのは、明らかな実力差。後半立ち上がりに興梠に2点目を奪われた時点で、清水の敗戦はほぼ決まったと、そう思っていた。

 ところがひとりの男が流れを変えた――。清水のエース、FW鄭大世(チョン・テセ)である。

 64分、FWチアゴ・アウベスのパスに抜け出すと、エリア手前で相手DFの対応を受け、スピードダウン。距離と角度を考えればシュートの選択肢はないように思われたが、この規格外のストライカーは発想が違った。利き足ではない左足を強引に振り抜くと、驚愕の弾道が浦和ゴールに突き刺さったのだ。

 観衆の度肝を抜くワールドクラスの一撃には、日本代表GKの西川周作も「めったに来ないようなシュートだった」と舌を巻くほかなかった。

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