時空を超えて現れた「昭和のスラッガー」DeNA宮崎敏郎の正体

■Part 1 打撃コーチも唸る独特の打撃術■

 それは「奇跡」ではなかった。交流戦の終盤に差しかかった6月15日のロッテ戦。エリアンの四球と、ロペス、筒香の連打で一死満塁とし、バッターボックスにはこの4日前に規定打席に達し、首位打者に躍り出た宮崎敏郎。カウント2-0から唐川の投じるツーシームを2球続けてカットし、5球目は高めのカーブ。思い切り振り抜いてレフトスタンドに叩き込み、ハマスタが沸き上がる。逆転の第5号はプロ初の満塁ホームランだった。

「みんながつないでくれたのでなんとかしようと思った。奇跡です」と宮崎は振り返る。

 調子を聞けば「よくも悪くもないですね」。好調の要因は「たまたまです」。首位打者に立っても浮かれた様子はなく、「与えられたポジションを譲らず、毎日できることを積み重ねるだけです」と言葉少なに謙虚な姿勢を崩さない。シャイな性格もあるだろうが、レギュラーが確約されているわけではないという危機感を持って臨んでいる証(あかし)でもある。しかし今の活躍が、奇跡でもたまたまでもないということを周囲の関係者はみな知っている。

「もともとバットコントロールの技術が非常に高く、フォームや技術に関しては言うことがないくらい」と主に右打者を指導している小川博文打撃コーチ。

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