あの一戦で川崎F・小林悠は変わった。「内容より、今は勝てればいい」

■川崎フロンターレ・小林悠インタビュー(前編)

 噛みしめるように言葉を絞り出す小林悠の表情には、悲壮感すら漂っていた。

「昔はすごい内容が大事というか、そこを優先していたところがあったんですけど、あれからは正直、勝てれば何でもいいというくらい、自分の中で物差しがはっきりと変わりました。極端なことを言えば、今は内容なんて多少悪くても、本当に勝てればいいやって思っています」

 内容より結果――小林がそれを強く意識するようになったのは、今季より川崎フロンターレのキャプテンに就任したから、というだけではない。その真意を知るには、彼が「あれから」と語る、その時間まで時計の針を巻き戻す必要がある。

 そう、2017年1月1日、大阪・吹田スタジアムで延長戦の末に1−2で敗れた鹿島アントラーズとの天皇杯決勝まで......。

「あの天皇杯の決勝は、自分がプロになって初めてタイトルがかかった試合。これまでフロンターレは『シルバーコレクターだ』って言われ続けてきましたけど、自分としては"鬼門"と言われる試合で得点してきたこともあって、勝てる自信もありましたし、チームの苦い過去はあの日で最後にしようと思っていたのに......。結局、それができなかった。

 もう本当に最悪な新年のスタートでしたよね。試合が終わって帰りの新幹線の中でも、『何であのとき、こうしなかったのか』とか、そんなことばかり考えていた。家に帰れば、お正月モードでしたけど、やっとオフになったという感覚はなくて、家族といても最初は楽しみ切れていない自分がいました」

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