柏原竜二は真剣に思う。「スポーツとサブカルを結びつけられないか」

◆柏原竜二が語った「引退とその先」(後編)

 柏原竜二は、現役を引退してしばらくした頃、大学卒業前に知り合った2人の友人と箱根を旅行した。学生時代に選手として何度も訪れた場所だが、観光で訪れるのは初めてだったという。

「初めて旅行してみて、箱根ってこんなにいい町だったんだなと気づきました。町で会う人はみんな『よく来たね』と言ってくれましたし、箱根駅伝の寄せ木細工の優勝トロフィーを作っている工房では、職人さんが『これもあげる、あれもあげる』と何でもくれようとするからビックリしましたよ。一緒に行った友達には、『殿様みたいだね』と笑われました(笑)。

 箱根駅伝ミュージアムにも初めて足を運んだんですが、そこには僕のシューズも展示されていました。僕は寄贈したつもりでしたけど、ミュージアムの関係者の方は『シューズは、あくまで預かっているもの』と気遣ってくれて。現役をやめた後でも僕を大切に思ってくれている方々に出会って、一時は苦しいこともありましたが、あらためて箱根を走ってよかったと思うことができました」

 それは、柏原が"山の神"の称号を受け入れられるようになったからだろう。富士通陸上部での苦しい5年間は、そのためにあったのかもしれない。

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