田中恒成vs田口良一。一度は白紙も奇跡の実現へ。その軌跡を追う



 そして同年大晦日、WBO世界ライトフライ級王座決定戦でモイセス・フェンテス(メキシコ)にTKO勝ちを収め、プロ8戦目での2階級制覇を達成。2017年5月に初防衛にも成功し、勝利者インタビューの最中、「田口選手、よかったらリング上にお願いします」と、ゲスト解説を務めていた田口をリングに呼び込んだ。
 突然の申し出だったが、この時、田口からは微笑みがこぼれている。
「もしかしたら呼ばれるかもしれない、と思っていたら本当に呼ばれたんで、つい笑ってしまいました」
 そして田中の「今年中にやりましょう!」との呼びかけに、田口は「次、自分がいい内容で勝ったら、ぜひ」と応じ、会場のみならず全国のボクシングファンを歓喜させた。
 同年7月、田口は6度目の防衛をTKOで飾り、田中とのビッグマッチが実現に向け、一気に加速していく。
 しかし、ここから運命の歯車はズレ始める――。
 2017年9月、勝者のはずの田中の表情が、敗者のように歪んだ。パランポン・CPフレッシュマート(タイ)と対戦し、9回1分27秒TKO勝ちで2度目の防衛に成功したものの眼窩底骨折と診断され、大晦日の田口との対戦にドクターストップがかかってしまう。
 試合翌日の会見で、田中は「ケガをしていなければ試合ができた。田口選手に申し訳ない」とうなだれた。

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