水谷隼はもう独りじゃない。Tリーグがもたらしたと進化と不変の志

当時のふたりの距離感はもちろん、照れ屋でどこかシニカルな一面がある水谷の性分はよく知られていたからだ。
 リオ五輪後の2016年12月、筆者は専門誌の企画で、南アフリカで開催された世界ジュニアを制して帰国したばかりの張本と、五輪メダリストとして”時の人”になった水谷の対談に立ち会った。この時の張本は水谷に対する憧憬(しょうけい)の気持ちを口にするばかりで、14歳の年齢差をそのまま感じさせる言葉のやりとりに終始し、対談原稿をまとめるのに苦労した記憶がある。
 それだけに、後の世界選手権や全日本選手権で憧れの人を破り、快進撃を続ける少年の成長スピードには驚かされてばかりだったが、この日のファイナルで”変化”が目についたのは、水谷のほうだった。
頂上決戦の勝敗を分けたもの
 ファイナルの試合を振り返ると、勝負の綾は第2マッチの選手起用にあった。
 リーグ戦での両チームの対戦戦績は、木下の4勝3敗。このうち、5試合がヴィクトリーマッチにもつれこんでいる。水谷と張本のWエースを軸に、大島祐哉や松平健太ら日本のトップ選手を擁する木下に岡山が肉薄できたのは、常に第1マッチのダブルスで先手を取ってきたからである。ダブルスだけを振り返れば、岡山は木下に全勝している。
 なかでも、この日ペアを組んだ森園と上田仁のペアは、リーグ戦で15勝3敗と圧倒的な強さを誇っていた。

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