水谷隼はもう独りじゃない。Tリーグがもたらしたと進化と不変の志

この推測がそれほど的外れでなかったならば、新しい価値観で卓球と向き合うようになったからこそ、今後の彼はこれまでと違うパフォーマンスや結果を生み出していくはずである。
「ひとりでやっていた時は、練習場所の確保も大変でした。実業団や大学にお世話になることが多かったのですが、そのチームの練習が休みのときは僕も練習できない。そんな状態が当たり前でしたから、そうしたことに対する手間やストレスがなくなったことだけでもすごく大きいです。
 仲間と一緒に練習をして、昼食を食べて、昼寝をする。それから起きてまた一緒に練習して、夕食も一緒に食べる。家族よりも長い時間を共有しているし、オフにみんなで映画に行ったりするのも楽しいですね。ロシアにいた時は、外を出歩くのが恐くて基本的にホテルから出ませんでしたから」
 笑みを浮かべてそう語った水谷は、「次は『運び屋』という映画を観に行きたいです」とつけ加えるほど饒舌だった。しかし一方で、変わらない意識もある。
 それは、筆者が初めて取材をした15歳の時から口にしていた、「卓球の魅力をひとりでも多くの人に伝えたい」「卓球を野球やサッカーのようなメジャー競技にしたい」という思いである。
 かつては”夢物語”としてしか触れられなかった、国内のプロリーグでプレーしている実感は、その思いをさらに強くしてくれているのかもしれない。

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