すでにプロ10球団がマーク。福井の公立校に最速145キロ左腕出現

玉村に「ペース配分」について聞いてみると、こんな答えが返ってきた。
「初回にちょっと力を入れて、チームが勝っていたら2回以降は少し抑えめにします。5回が終わった後にグラウンド整備があって仕切り直すので、6回にまたギアを上げて、7〜8回は様子を見て、9回にまた力を入れる感じです」
 ただ恵まれた能力に任せて投げている投手ではない。フォームも自分なりに投げやすい形を模索して、アレンジしているという。春木監督は「トレーニングや食事への探求心もある」と認めている。
 それにしても……と思わずにはいられない。丹生という高校から逸材左腕が育つのは、「ただの偶然なのだろうか?」と。
 今から8年前、丹生には田中優貴というドラフト候補がいた。スカウト陣もその動向を注視したサウスポーの好素材は社会人・三菱自動車岡崎に進み、その後はBCリーグ・福井ミラクルエレファンツでプレーした。全国的な知名度こそないものの、知る人ぞ知る存在だった。
 春木監督に疑問を伝えると、こんな答えが返ってきた。
「丹生郡は伝統的にいいピッチャーが出るんですよ。山もあるし海もあって、自然豊かな土地で体の大きい、いい選手が出てくる。私が高校球児だった30年前もそういう選手が多かったですよ。岩手の大船渡によく似た土地柄かもしれないですね」
 太平洋側の大船渡市で佐々木朗希(出身は陸前高田市)という怪物が育まれた一方、日本海側の越前町では玉村という好左腕が人知れず育っていた。

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