阪神・青柳晃洋は斎藤雅樹級の素質。「いい時は手がつけられない」

そのうしろ姿がなんとも美しかった。

 あれだけ鮮やかな身のこなしで走れる投手なら、絶対にいい球を投げるに違いない。そう思って見ていたら、案の定、サイドハンドからの腕のしなりがすばらしかった。それが青柳だった。

 正直、「このピッチャーの方がいい!」と思った。今こうして、プロで成功しているから言うわけじゃない。当時、お世話になっていた雑誌にも<この体で、なんでこんなに勢いのあるストレートが投げられるのか……>といったことを書いている。7の力感で9の威力のあるボールを投げられる投手。それが当時の私の”青柳評”だ。

 じつはその試合で、青柳は投げていない。いち早く肩はつくっていたが、マウンドに上がったのはほかの投手だった。
 それからしばらくして、先発する青柳を狙って試合を見に行った。その日の青柳は、まさに跳びはねるように投げていた。踏み込んだ左足、プレートを蹴り上げる右足。タップを踏むような足さばきで、気持ちよさそうに腕を振る。指先からボールが離れた瞬間、右腕もボールと一緒になって吹っ飛んでいきそうな勢い。

 僕にはこれしかありませんから――そんな”開き直り”が伝わってくるような潔さが、当時の青柳の将来性だった。ただ、渾身の腕の振りであるのは間違いないのだが、それほど無理しているようには見えない。

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