斉藤和巳が燃え尽きた試合。絶望へと繋がる稲葉篤紀に投じたあの一球


 その年のペナントレースで26試合に登板し、初めて投球回数が200イニングを超えた斉藤には疲労があったはずだ。だが、目標はリーグ優勝をして、日本一になること。チームを離れて胃がんの治療に専念していた王貞治監督に、いい報告をすることだった。
 斉藤はライオンズとのCS第1ステージ第1戦に先発し、その年に17勝をマークした松坂大輔と投手戦を演じる。エース対決は0−1で敗れたものの、チームは第2戦と第3戦に勝利してファイターズとの第2ステージに進んだ。
 シーズン1位のファイターズには1勝のアドバンテージがあり、第1戦で敗れたホークスは早くも窮地に追い込まれた。負けられない第2戦、ホークスはエースをマウンドに送った。ずっと中6日という登板間隔を守ってきた斉藤にとって、6年ぶりの中4日での登板となった。
 ファイターズ先発の八木智哉との投げ合いで、両チームとも無得点のまま9回裏を迎えた。ファイターズの先頭打者は森本稀哲だった。斉藤は足の速い一番打者にあっさり四球を与えてしまう。
 斉藤が振り返る。
「完全にスタジアムの雰囲気に飲まれました。9回表にホークスが0点で終わった瞬間、『1点取られたらサヨナラ負けになる』と思ってしまった。そして、初球、2球目とボールが続き、スタジアムの空気が変わりました。メンタル面で後ろ向きになったのがダメだった」
 2006年のファイターズは、シーズン中に「引退宣言」をした新庄剛志がファンを盛り上げていた。

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