斉藤和巳が燃え尽きた試合。絶望へと繋がる稲葉篤紀に投じたあの一球

2002年に本拠地を北海道・札幌に移転して以降の初優勝を目前に、ムードは最高潮に達しつつあった。ファンが見たかったのはファイターズのサヨナラ勝ちであり、監督、選手たちの胴上げだった。
【五番・稲葉に対して計算どおりの投球】
 二番の田中賢介が送りバントで森本を二塁へ進めた。ワンアウト二塁で、三番の小笠原道大が打席に向かう。
「森脇浩司監督代行がマウンドに来たので、小笠原さんを敬遠して(フェルナンド・)セギノール勝負を指示されると思っていました。ところが森脇さんは『和巳、どうしたい?』と聞いてきた。僕は勝つこと優先なので、プライドなんて関係ない。『敬遠します』と言いました」
 四番は斉藤が”カモ”にしていたセギノールだった。その後には稲葉篤紀、新庄が控えていた。
「セギノールで勝負というよりも、セギノールでダブルプレーを取りたかった。だけど、『あんまり欲張っても』と思ったので、三振を取りにいきました」
 狙いどおりに三振を奪った斉藤は、ツーアウト一、二塁で稲葉を迎 えた。このシーズン、打率3割0分7厘、26本塁打、75打点を挙げた稲葉はチャンスに強いバッターだ。
「もうランナーは関係ない。稲葉さんとの勝負だと思いました。『このバッターさえ抑えれば延長戦になる。球数を考えれば、最後だろう』と。もし稲葉さんに打たれれば、サヨナラ負けが決まる。

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