斉藤和巳が燃え尽きた試合。絶望へと繋がる稲葉篤紀に投じたあの一球

そうなれば、長かったシーズンがそこで終わる。力を振り絞ってギアを上げました」
 初球の渾身のストレートはアウトコースに外れてボールの判定。このとき、稲葉はフォークに狙いを定めていたのだが、斉藤が知るはずもない。
「際どいところでボールになりましたが、ここまでは計算どおりでした。ツーボールにはしたくない。ストレートは続けにくいから、2球目にフォークを選びました。僕はよくストライクゾーンの低めにフォークを落としてゴロを打たせていたんですが、稲葉さんに引っかけさせたかった。投げたコースも計算どおり。ただ、ほんの少しだけ甘く入ってしまった」
 稲葉が捉えた打球は斉藤の左に転がり、それを捕ろうとしてグラブを伸ばしたが、届かなかった。斉藤は倒れ込んだままの姿勢で、打球を目で追った。
「際どいところに打球が飛んだのは、ファイターズに勢いがあったから。自分の力のなさも痛感しましたが、彼らはやっぱり強かった。勢いと強さが最後のプレーに出たと思う」
 打球は試合出場経験の少ないセカンド・仲澤忠厚とセカンドベースの間に飛んだ。仲澤は横っ飛びで捕ろうとした。
「パッと見た瞬間に、仲澤が捕れそうな位置にいるのがわかりました。(ショートの川ア宗則が待つ)二塁へのトスがふわっと浮いて『セーフかも・・・・・・』と思った後に塁審が両手を広げて、その瞬間に森本がホームに走るのが見えました。

関連記事(外部サイト)