イニエスタとは阿吽の呼吸。「全力疾走をしない」ビジャのすごさ


 では、ビジャがどうやって出し手とのタイミングを合わせているのかと言えば、ボールを持つ味方の姿勢や体の向きなどから見極めている。
 たとえば、アンドレス・イニエスタにボールが渡ったときのビジャに注目してもらいたい。イニエスタにボールが渡って、トラップして止めて、イニエスタが頭を上げているときに、ビジャはしっかりイニエスタの方を見ている。同時に、DFと駆け引きをしながらラインの裏を突く。
 基本的に、パスの出し手はパスを出す前に予備動作をするのだが、超一流のパサーになればなるほど予備動作が速い。相手DFも察知できるようなタイミングなら、パスは通らないからだ。
 私は現役時代に浦和でウーベ・バイン(元ドイツ代表)と一緒にプレーしたが、彼のパスが出てくるタイミングは、それまで一緒にプレーした日本人選手より格段に早かった。バインは、1990年のW杯イタリア大会で西ドイツ代表が優勝したときの主力で、94年から97年まで浦和でプレーし、私は彼とのコンビネーションで得点を量産できたことで、95年にJリーグで最初の日本人得点王になれた。
 しかし、当初はまったくタイミングを合わせられなかった。自分のタイミングでDFラインの裏に抜け出してパスを受けようとしても、彼のパスの方が先に行ってしまう。私は彼がパスを出すタイミングが早すぎると感じていたし、彼からすれば、私の動き出しが遅いと考えていた。

関連記事(外部サイト)