イニエスタとは阿吽の呼吸。「全力疾走をしない」ビジャのすごさ

そして、当時のジュビロ磐田には名波(浩)や(藤田)俊哉がいて、パスを出せる選手が複数いた。
 その点で、サガン鳥栖のフェルナンド・トーレスはストレスを溜めている可能性が高い。FWは一歩、二歩の動きで自分が得点するためのスペースをつくる。その時にパスが入るからシュートに持ち込めるのだが、現状でサガン鳥栖にはそのパスを出せる選手が少ない。
 いまのトーレスは、欲しいタイミングでパスが出てこないから、パスの出し手に無理に合わせて動いているのではないか。ただ、それだと、スペースのない状況では相手を崩せず、ゴールにつながりにくいのは言うまでもない。
 この気持ちも、個人的にはわかるつもりだ。私自身、ウーベが浦和を去ったあと、ウーベのときと同じタイミングでDFラインの裏に出ていくと、ほとんどがオフサイドになるかタイミングがズレた。この時も、チームメイトと呼吸を合わせることがいかに難しいかを実感した。
 苦しんでいるトーレスに対して、ビジャにはイニエスタに加えて、セルジ・サンペール、CBのダンクレーというパサーもいる。これがバルセロナになると、ボールを持つ選手ほぼ全員から常にパスが出てくる可能性がある。FWは常にパスガ出てくると考えて動き出すことができる。
 神戸は監督交代があり、次の監督人事の可能性についてもいくつか報道があるが、ビジャとイニエスタのホットラインは変わらずに続くはずだ。そこにドリブルで突き進めるタイプの選手が神戸に加われば、ビジャの使えるスペースが増えると私は考えている。神戸の今後の補強やチーム作りに注目したい。
 今シーズンも混戦模様のJ1で、試合を観戦するファンには、ビジャの動き出しと、イニエスタの予備動作に注目して、世界トップレベルで戦ってきた超一流のすごさを体感してもらいたい。

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