非情采配は期待の裏返し。眠れる獅子・野間峻祥は吠えて試練に打ち勝つ

ただ、広島首脳陣の野間の育成法は厳しい。まるで「獅子の子落とし」のように厳しさを感じる。
 とくに丸というチームの中核が抜けた今季は、野間が同じ中堅の選手で、チームの未来を背負う逸材であれば、多少の我慢をしてでも使い続けるべき存在だろう。少なくとも記者はそう感じていた。だが、広島首脳陣は、野間を崖から突き落とすように試練を与え続ける。
 4月17日の巨人戦。九州遠征の熊本の地で、野間が今季初めてスターティングメンバーから外れた。
 開幕から低調な広島打線のなかで、野間はただひとり打率3割をクリアしていた。開幕直後は空席状態だった3番で獅子奮迅とも言える働きで打線を引っ張り、前日まで1番を任されていた。
 非情ともいえる采配に、チーム内からも「なぜ?」の声は上がっていた。
 チームは連敗中で、借金はワースト8となっていた。この試合、広島は首位・巨人を最終回に逆転して、その後の巻き返しのきっかけをつかんだ。今では分岐点と位置づけられる試合だが、一方で敗れていれば逆の意味で分岐点となっていたかもしれない危険性をはらんでいた。
 勝利の殊勲者は石原慶幸だったが、今季初めてベンチスタートとなった野間が反撃の狼煙(のろし)を上げていた。
 8回裏に2点を勝ち越されて迎えた9回表。前の回に守備から出場していた野間が打席に立つ。
「絶対出てやる、その気持ちだけでした」
 後日そう言葉を吐いた。

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