「なでしこらしさ」はどこへ。いま必要なのはスムーズな切り替えだ

引っかかれば、すぐに少なくとも2人は寄せてくるため、あっという間に囲まれてしまう。日本はペナルティエリア付近での縦パスを封じられてしまっていた。
 守備ブロックを崩すのが困難な展開に陥ったもうひとつ原因は、ファーストタッチの悪さだろう。それは、出し手に迫るアルゼンチンのプレスの影響があることは明らかだが、精度を上げるためにマークをもっとうまく剥がす必要があった。
 1秒でも早く、ゆとりを持って正確にボールを出すことができれば、必ず前線の足元にピタリとおさまるはずだった。また、受け手のコントロールにも焦りが見えていた。いつもなら収まるタイミングでも、この日はボールひとつ分パスがズレれてしまい、ブロックされてしまった。25分の菅澤のトラップや、その流れからフィニッシュに至った三浦のボールの置き位置にもそれが現れていた。
 絶妙なコントロールで好機が生まれたのは50分。長谷川からのパスを受けた横山は、もっとも体に近い位置にボールを置いてターン、そこからミドルシュートを狙った。GKが弾いたところを菅澤が詰める。ゴールにはならなかったが、ファーストタッチでボールが収まれば、得点に近づくことを証明した。アルゼンチンの守備網を破れなかった要因は、日本攻撃陣のフィニッシュに持ち込むまでの最後の精度だったと言える。
 アルゼンチンは攻撃をカウンターのみに絞り、残る力のすべてをゴール前での守備に注ぎ込んでいた。

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