元ドラ1の前イタ飯シェフが指導。福井工大1年が全国で圧巻投球を披露

球速表示は140キロ台前半でも、ほとんどのバッターが差し込まれていたのを見ると、おそらく150キロぐらいに感じていたのではないだろうか。
 また、フォークと思っていた鋭いタテの変化球は、あとで水尾コーチに聞いたら「あれ、チェンジアップなんですよ」と教えてくれた。そのチェンジアップをカウント球にも勝負球にもできる投球術。なにより、角度がすばらしかった。
「1年生で、しかもこの大舞台で、あのピッチング。すごいとしか言えない。ずっとドキドキでしたけどね。4年生までにどう変わっていくのか。楽しみしかないですね」
 いつもと変わらぬ穏やかな口調で水尾コーチは語った。そういえば、以前、こんなことを言っていた。
「今は非力でも、柔軟性があって、バランスがよくて、野球センスがあって……そういうピッチャーを見ると、体ができてパワーがついてくるとどうなるんだろうって……そう思うとワクワクしてしょうがないんです」
 まさに立石は、それにピタリと当てはまる投手だった。
「もう料理の世界には帰ってこないですね(笑)」と聞いたら、「いえいえ、また戻ります、戻りますよ。この子たちのメドがついたら、店をまた探します」と、ずっと”野球人”でいることを否定した。しかし、教え子たちの話をしているその表情は、充実感に満ち溢れていた。水尾シェフもいいが、やっぱり水尾コーチのほうがよく似合う。

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