シメオネ8年目の大博打。アトレティコ「エースの取り換え」は吉か凶か

それによってチーム内で明瞭な格差が生まれ、それまでの公平感は失われてしまった。

 そのせいか、昨季のアトレティコはリーガこそ2位と健闘したものの、チャンピオンズリーグはベスト16で敗退。かつてのような一体感に欠け、気迫は失せているように見えた。守備陣はリーグ最少失点で気を吐いたが、エースのグリーズマンは過去5シーズンで最少得点(リーグ戦15点)と期待に応えられなかった。

 指揮官シメオネへの風当たりも、以前より厳しくなっている。神格化されているだけに、表だった批判は少ないが、不信感は生まれつつある。2015−16シーズンにチャンピオンズリーグ決勝に進出したのを頂点に、チームは下降線を辿っているのだ。

「献身だけはどこにも売りに出さない」

 シメオネはそう言う。その高潔さと清廉さはチームの強みになっていた。フォア・ザ・チームの戦い方というのか。しかし皮肉にも、強豪として地歩を固めたことで年俸の格差が生まれ、それは内部からチームを浸食しつつある。

 新たに加わるジョアン・フェリックスの移籍金も破格で、年俸も平均の倍近い。

「レアル・マドリードが獲得したベルギー代表エデン・アザールでも、1億ユーロ(約130億円だった。19歳の実績の乏しい選手の獲得にこれだけの金額をかけるのはリスクがありすぎる」

 スペインの大手スポーツ紙『マルカ』の番記者は、「相応の価値はあるのか」と疑問を呈している。

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