スタジアムに足を運ぶ幸せを届けたい!ガンバ大阪が試みる集客戦略

ところが、蓋を開けてみたら、過去2年の顧客データからもコア層(年に8回以上の来場実績)の方に多数、ご来場いただいたという実績が明らかになりました。

 チケットの売れ行きも、セレッソ大阪との”大阪ダービー”を凌ぐスピードで、その動向からも今年もコア層のファンの方にたくさんチケットをご購入いただいているようですが、いずれにせよ、たくさんの方に愛されるイベントになっているのはうれしい限りです」

 その言葉にあるように、予想に反して『GAMBA EXPO』は今やコア層がチケット争奪戦を繰り広げる人気イベントになったが、これは”ライト層”“ミドル層(年に1〜7回の来場実績)”の方たちの来場意欲を邪魔するものでは決してない。”ライト層”“ミドル層”の方たちは、人気カードに左右されずに来場しているというデータが出ていることが、何よりの証拠だ。であればこそ、『GAMBA EXPO』のような一大イベントが行なわれる試合や人気カード以外での試合前イベントを充実させることによって、新たなファン層獲得を図ることは十分に可能だろう。

 また、これは余談だが、これまで長くクラブを応援してきた”コア層”の方たちのクラブ愛や思い入れをより強めてもらおうと、選手OBを積極的にイベントに起用しているのも、ガンバならではの取り組みのひとつだ。今年の2月23日に行われたホーム開幕戦には、選手OBとして加地亮氏、播戸竜二氏、武井択也氏をゲストに招き、Gパーク内のイベントステージ『Gステージ』でのトークショーを行なったが、「とてもうれしい反応があった」と竹井氏は振り返る。

今季開幕戦では、選手OBを招いてトークショーを行なった。舞台上の右から播戸竜二氏、武井択也氏、加地亮氏。?GAMBA OSAKA


「昨年、Jクラブとしては史上2クラブ目となる選手OB会が発足し、レジェンドのみなさんとの関係性も、これまで以上に密度が濃くなりました。それもあって、開幕戦のイベントでは加地さんたちにご参加いただき、長く応援いただいているコア層のファンの方に『今年もよろしくお願いします』との思いでトークショーを行ないましたが、当日のGステージ前は、これまで見たことのないような人垣ができたんです。

 それを目の当たりにした時に、こうしたイベントは、単にトークショーそのものを楽しむだけではなく、加地さんたちを通して過去の歴史に想いを馳せ、懐かしみ、それをきっかけにファン同士が盛り上がることもできると感じました。それを踏まえて、以降も定期的に選手OBのみなさんにはイベント等々にご協力いただいていますが、そうした伝統を大事にしながら前に進んでいくことも、クラブとしては大切にしていかなければいけないと考えています」

トークショーが行なわれたGステージ前は多くのファンであふれていた。?GAMBA OSAKA

 そうしたさまざまな施策の先にクラブが目指すのは、1試合でも多く”満員のスタジアム”を実現することだ。もちろん、そこに試合の面白さや結果が伴えば、より理想的で、パナソニックスタジアム吹田で”タイトル”を掲げることは、今もクラブに関わる全員の目標である。ただし、それと並行して「たくさんの人の記憶に残るスタジアム」が実現すれば、外側からチームを後押しすることができると山崎氏は言う。

「私たちクラブスタッフには、現場で戦っている選手、スタッフのみなさんに直接的な力を貸すことはできません。ですが、スタジアムが満員になれば、間違いなく選手にも大きな力を与えられるはずです。と同時に、そうした私たちの取り組みにお客様が応えてくださり、一緒になってスタジアム作りに取り組んでくださっている気持ちをこれからも大切にしたい。

 だからこそ、今後も集客マーケティングをもとに、ご来場いただく方にピンポイントで突き刺さるようなイベントや施策を続け、応援してくださるみなさんにこのスタジアムに足を運ぶ幸せを感じ取っていだきたいと考えています。それがたくさんの方々の募金によって作っていただいた、この素晴らしいスタジアムを運営する私たちの責任でもあると思っています」


1試合でも多くの満員のスタジアムを目指して、クラブとして日々努力を重ねているガンバ大阪。?GAMBA OSAKA

 記憶に新しい5月18日の”大阪ダービー”。3万5861人を集めたパナソニックスタジアム吹田は、試合前から大きな熱気と興奮に包まれた。後半10分に、MF倉田秋が決勝ゴールを決めた際には、スタジアム全体が揺れるような歓喜が沸き起こった。

 と同時に、あの日、スタジアムの内外に漂っていた大きな熱気は、間違いなく山崎氏の言う”幸せ”を実感するものだったと言っていい。その”幸せ”が毎試合、実感できるようになれば――。

 スタジアムだけではなく、来場者の心も満杯になるような、魅力あるパナソニックスタジアム吹田が実現する。

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