アンディ・マリーと英国民の確執。あれから13年…誰もが愛す存在に

アンディ・マリーと英国民の確執。あれから13年…誰もが愛す存在に

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アンディ・マリー(イギリス)のウインブルドンにおける、忘れがたい光景がある。
 2013年、男子決勝戦――。
 ノバク・ジョコビッチ(セルビア)のショットがネットを叩いた時、彼はラケットを放り投げ、キャップをはたき落とすと、身体をスタンドへとひるがえし、両手で幾度も拳を振り上げた。

セリーナとのコンビでウインブルドンを大いに沸かせたマリー

 暑く、雨の少ない年のことである。2週間酷使されたセンターコートの芝は剥げ、咆哮(ほうこう)を上げるマリーの姿が、土煙に包まれた。
 77年ぶり、イギリス人選手のウインブルドン優勝者、誕生の瞬間。
 だが、この光景が忘れがたいのは、単に栄冠を飾る修辞や記録にあるのではない。マリーが拳を突き上げた先……そこにいたのが、プレス席でペンを走らす、記者たちだったことにある。
「あの時に僕が見ていたのはなぜか、プレス席に座る貴方たちだった。たぶん、僕のなかの潜在的な何かが、そうさせたんだろう。ここ何年も、僕らの関係は難しいものだった」
 優勝会見の席で、起伏に乏しい声音と表情で語る、彼の感情をうかがうことは難しい。だが、彼が朴訥(ぼくとつ)につづる言葉は、「テニスの聖地」を自負する国のスコットランド人が、何を背負ってきたかを物語っていた。

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