アンディ・マリーと英国民の確執。あれから13年…誰もが愛す存在に


「マッチポイントまでは、勝ったらプレスの方を向こうなんて、まったく思っていなかった。でも、勝利の瞬間、そこが僕の視線をとらえた場所だったんだ」
 この時の彼はおそらく、プレス席でキーボードを叩く記者たちの向こうに、英国の人々を見ていた。
「勝てばイギリス人、負ければスコットランド人」
 それはかつて、この国での彼の立ち位置を言い表わした、皮肉の効いたジョークである。
 大会に出れば”イギリス人”として戦うマリーだが、彼が生まれ育ったのは、スコットランドのダンブレーン。その彼が「イングランド嫌い」の烙印を押されたのは、2006年のことだった。
 この年に開催されたサッカーのワールドカップを控えた時期、マリーは人気テニス選手のティム・ヘンマン(イギリス・オックスフォード出身)とともに、テレビ取材を受ける。そのなかで、「ワールドカップではどこを応援する?」と問われたマリーは、「イングランドと対戦するチームなら、どこでも」と応じたのだ。

 のちにヘンマンは、「あれは僕が、スコットランドのサッカーチームをからかい過ぎたからだった」と釈明する。だが、そんな背景を知らぬイングランドの人々は、19歳のスコティッシュの言葉に憤怒した。
「ウインブルドンのロッカールームに行くと、僕宛の手紙が届いている。

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