神前俊彦63歳。高校野球に憑りつかれた男が目指す2度目の甲子園

神前俊彦63歳。高校野球に憑りつかれた男が目指す2度目の甲子園

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高校野球の京都大会の開幕が迫っていたある日、京都共栄学園監督の神前俊彦(かみまえ・としひこ)と電話で話をする機会があった。会話のなかで、今度、智辯和歌山前監督の高嶋仁(現・名誉監督)に会うという話をすると、神前はこう言ってきた。
「なら、高嶋さんに聞いといてくださいよ。夏のない夏はどうですか、と」

2015年から京都共栄学園の指揮を執る神前俊彦監督

 夏のない夏──つまりは、戦いのない夏、勝利を求めない夏、甲子園を目指さない夏……という意味だ。高嶋より10歳若い神前だが、京都では最年長監督となる63歳。いつまでこの生活が続くのかという思いも浮かぶなか、甲子園歴代最多勝監督の”夏のない夏”に興味が向いたようだ。
「高校野球の監督というのは、3秒に1回決断をくだして、ボタンを押すのが仕事。それでゲームの勝敗が分かれ、チームの運命も決まってくる。50年近く、そうした生活を送ってきた高嶋さんが、夏のない夏をどう過ごしているのか、どう感じているのか……聞いてみたいなぁ」
 神前の名前は、和歌山市にある地名”神前(こうざき)”に由来する。いかにもご利益がありそうな名前だが、かつて大阪の高校野球界、公立高校の野球関係者の間で特別な響きを持っていた。

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