佐々木朗希が163キロよりも目指すべきもの。「急がば回れ」の夏

佐々木朗希が163キロよりも目指すべきもの。「急がば回れ」の夏

佐々木朗希が163キロよりも目指すべきもの。「急がば回れ」の夏の画像

── 佐々木くんの本気のストレートと本気の変化球、どっちのほうが捕るのが大変ですか?
 大船渡の正捕手・及川惠介に興味本位でそう聞いてみると、及川は少し考えてから、こう答えた。
「どっちも大変なんですけど、でも『163キロ』が本気だとしたら、僕もまだ受けたことがないのでわからないんです」
 その言葉を聞いて、あらためて実感した。佐々木朗希が今年に入って「本気」を出したのは、たった1日だけだということを。

一戸戦で6回参考記録ながらノーヒット・ノーランを達成した大船渡の佐々木朗希

 4月6日、佐々木は侍ジャパンU−18代表候補合宿の紅白戦で、163キロを計測した。その日の登板後、佐々木は「変な力が入ってしまった」と言った。甲子園出場経験のない佐々木にとって、右を見ても逸材、左を見ても逸材という環境で野球をするのは初めてのこと。無意識のうちにアドレナリンが分泌され、リミッターが外れたのだろう。
 筆者は幸運にも、そのとんでもないボールを現場で目撃した。誇張でもなんでもなく、捕手を務めた藤田健斗(中京学院大中京)の命が心配になった。これほど暴力性を帯びた剛球を見たことがなかった。
 だがその後、佐々木が160キロを超えるボールを投げたことはない。4月中旬に骨密度の測定をした結果、佐々木の体は成熟していないことがわかった。

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