楽しさもつらさも知る臥牙丸が語った「お相撲さんでいるということ」


 お母さんの死からなかなか立ち直ることができなかった僕は、翌秋場所、負け越して、長く守った関取の座から陥落することが決まった。幕下に陥落したこともそうだけど、「お母さんのために」という目標を失って、僕は本当に相撲を辞めようと思った。だけど、(前編の)最初にも話したように、「もう1回、がんばってみろ!」と師匠からの檄を受けて、もう一度、土俵で勝負するという決断を下したんだ。

 考えてみると、お相撲さんでいるということは、人生のいい勉強。なんでかって言うと、どんな世界のどんなエライ人とも会えるし、いろんな出会いは勉強につながる。そして、(勝敗によって)いい時、つらい時がハッキリしていて、それが「がんばろう!」という気持ちの源になっているんだよね。

 いろんなところに行けるし、いろんなおいしいものも味わえるけど、最近、相撲の世界で生きている時間は本当に短いよなぁと思うんです。

 僕が20歳の頃、知り合いの人にこう言われました。

「相撲人生は、アッという間だよ」

 その頃はどういう意味かわからなかったけれど、32歳になった今はよくわかります。

 だからこそ、相撲人生の1日1日を悔いのないように生きていかなくちゃならない、そう思っているんです。

(おわり)




臥牙丸 勝(ががまる・まさる)
本名:ジュゲリ・ティムラズ。1987年2月23日生まれ。ジョージア出身。木瀬部屋所属。200sを超える巨体とパワフルな突き押し、明るいキャラクターで、子供からお年寄りまで相撲ファンの人気を集めている。2019年名古屋場所(7月場所)時点での番付は、十両2枚目。

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