錦織圭も認める実力。内山靖崇は細いチャンスの糸を縄に変えた

錦織圭も認める実力。内山靖崇は細いチャンスの糸を縄に変えた

錦織圭も認める実力。内山靖崇は細いチャンスの糸を縄に変えたの画像

それは大会開幕の数日前、最後の最後にスルスルと目の前に降りてきた、細い糸のような成功への手がかりだった。
 楽天オープン本戦に欠場者が出たため、他の日本人選手たちが繰り上がった末に回ってきた、予選の主催者推薦枠。

楽天オープンでベスト8まで食い込んだ内山靖崇

 それは小さなきっかけで、いつプツリと途切れてもおかしくない糸だっただろう。どうせ出られないものだとあきらめ、準備を怠っていたら、予選の初戦を勝つこともままならなかったはずだ。だが、その微かな手がかりを、彼は勝利と確かな自信へと変えていく。
 予選2試合をいずれもストレートで制し、本戦でも1回戦で第4シードのブノワ・ペール(フランス)を圧倒した。2回戦では今季好調のラドゥ・アルボット(モルドバ)に、2時間25分の熱戦の末に競り勝ってみせる。
 とくにこの2回戦は、第1セットをタイブレークの末に落としながらも、第2セットでは嫌な流れを自ら断ち切り、粘り強く戦い勝利を手繰り寄せた。精神力の強さを示した末の逆転勝利は、今季の内山靖崇の成長を端的に物語る快勝だ。
「周りがどう見ていたかわからないですが、僕は性格的にも、めちゃめちゃハングリー精神丸出しでプレーするほうではないし……」
 183cmの恵まれた体躯を、こちらの目線に合わせるように少し屈め、物静かながら理知的な口調で、彼は一語一語を紡ぐ。

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