山本尚貴がトロロッソで好走。思い出す30年前の「日本一速い男」の言葉


 山本は、マシンを降りると、開口一番、まずは関係者への感謝を口にした。
「こんなに近くで多くのメディアの方に集まって頂いて、少し圧倒されています(笑)。F1を実戦で経験していない中で、できるだけの準備はしたつもりでしたが、それでも、自分の力と準備が本当に十分なのか、正直、不安なところもあったのも事実です。トロロッソやホンダの開発部隊・Sakuraのメンバーのみなさんが僕を助けてくれたので、大きなミスもなく走ることができました」
 その言葉はどこまでも謙虚だが、チームメイトとは異なるテストメニューや、タイヤ、そして路面コンディションの違いなどを差し引いても、同じトロロッソ・ホンダに乗るダニール・クビアトの1分31秒920からコンマ1秒落ちという結果と、ミスのない安定した走りは、山本尚貴が持つレーシングドライバーとしての実力をハッキリと証明できたと言えるだろう。実際、トロロッソの担当レース・エンジニアも山本のF1マシンへの適応力と正確なフィードバックを高く評価していたという。
 そして、もうひとつ感銘を受けたのが、FP1走行後のパドックでの取材を通じて感じた、山本の誠実な人柄だ。スーパーフォーミュラやスーパーGTの現場で彼をよく知る人たちにとっては周知のことなのだろうが、海外のメディアや、筆者のように初めて直接取材を受ける相手の質問に対しても、しっかりと言葉を選びながら、丁寧に答えようとする姿に心を打たれた。

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