オールブラックスが有終の美。ラグビー王国の誇りと情熱をみせた


 試合前。つかの間の静寂がスタンドを包む。恒例の「ハカ」だ。ラストゲームの儀式をリードしたのが、リード主将だった。掛け声が場を圧した。
 フォワード(FW)が当たり負けしなければ、15の黒いジャージが”生きた”ボールをつないでいく。変幻自在にみえる攻めを支える基本技術の確かさ。瞬時の判断のはやさ、鋭利するどいラン。そこにはラグビーという競技のオモシロさが存分に詰まっていた。
 タックルを受けながらパスをつなぐオフロードパスは相手と同じ「17」だった。でも、ウェールズとは威力がちがった。渡すタイミングやボディコントロールもだが、ボールをもらう選手の角度、間合い、ランスピードが決定的だった。
 前半5分。NZが相手のキックを自陣で捕って、逆襲に転じた。中盤でラックを連取し、左オープンに振る。SO(スタンドオフ)リッチー・モウンガからNo.8(ナンバーエイト)のリードがもらってタテを突き、LO(ロック)のブロディ―・レタリックにつなぐと、タックルを受けながら右手のフリップパスで、内側に走り込んできたPR(プロップ)のジョー・ムーディーにオフロードパスを通した。PRだ。PRのムーディーが右中間に躍り込んだ。
 まったくオールブラックスはFW前5人(PR、HO=フッカー、LO)もよく走る。ハンドリングもうまい。もちろんBK(バックス)も自在に走り、FB(フルバック)のボーデン・バレット、33歳のWTB(ウイング)ベン・スミスがトライを重ねた。

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