錦織圭いわく「修行に向かう仙人」。杉田祐一がスランプから脱出した

そこで大瀧は、内転筋を自然と使えるようなトレーニングを多く取り入れたと言った。

 それら、個々に磨きをかけたピースが噛み合う音を聞いた試合を、杉田ははっきり覚えている。

 今年6月、ノッティンガムで行なわれたATPチャレンジャー(ツアー下部大会)の2回戦。

 スコアだけを見れば、1−6、3−6で敗れた、ありふれた敗戦だ。だが、戦う当人には、繊細ながら強固で懐かしい感覚が、確かにそこにはあったという。
「あ、これだって。負けたんですよ。あっさり負けたんですけれど、そこで、『あ、もしかしたら戻れるかな』と思いました。そこまで練習で自分を追い込んできたから、パッとできたのかも。いろんな方のサポートがあるなかで、ピースがカチカチッとハマっていった感じです」

 自身のなかに見出したその感覚を、彼は勝利という可視的な結果へと昇華する。7月から8月にかけて、ATPチャレンジャー優勝2回、準優勝1回という戦果を得て、自信を確信に変えていった。

 さらに10月のストックホルム・オープンでは、予選決勝で敗れるも、ラッキールーザーとして本戦に繰り上がる。そのラッキーを生かしてベスト8に勝ち上がった杉田は、準々決勝で今季を最後に引退を表明している元世界8位のヤンコ・ティプサレビッチ(セルビア)と対戦した。

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