宇野昌磨が取り戻した楽しむ気持ち。ランビエルと「一緒に戦っていきたい」

束の間、静寂に包まれた。音がないという音があった。「Great Spirit」がけたたましく会場に流れると、ほとんど同時にスタンドから拍手が湧き起こる。彼は、4回転フリップを鮮やかに決めた。その姿に、拍手が強く鳴り、むせぶような声が漏れる。続けざま、4回転トーループプラス2回転トーループも成功した。
 後半、宇野は得意のクリムキンイーグルで会場を盛り上げると、トリプルアクセルも完璧に降りた。3.20点のGOE(出来ばえ点)をもらうほどだった。ドラムをたたくようなしぐさで、締めくくりに最大限に会場のボルテージを上げる。そして滑り終わった直後、右腕を振り下げ、ぴょんと跳ね上がった。喜びがありあまっていた。

 ショートは、105.71点の高得点で2位につけた。

「本当は、4T+2Tのところは、4T+3Tにもできたはずで。そこは逃げてしまった、というより、やってしまったな、という感じですかね。(そう思ったら演技中に)軽く笑いが出てしまいました」

 宇野は達観し、無邪気に滑りを楽しむことができていた。思わず、笑みが洩れるほどに。それは昨年の全日本のように、ケガを押しても全力で挑む苛烈な演技とは、少し別のものだった。苦難を乗り越え、一つの高みに達したのか。

「ステファン(・ランビエル)は試合よりも、日ごろの練習での存在が大きいかもしれません。

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