経常収支の不均衡が続くと心配なのは新興国

経常収支の不均衡が続くと心配なのは新興国

中国やEUなど米国の貿易赤字の相手国に追加関税や数量割り当て、投資規制など力業で是正を迫る米国のトランプ大統領(写真:REUTERS/Jonathan Ernst)

米国のドナルド・トランプ大統領は、米国の貿易収支が大幅な赤字となっていること自体が、貿易相手国による不公正な行為の証拠だとして、一方的に輸入品に高関税を課し始めた。この主張の背景には2つの考えがある。第1は、貿易収支や経常収支についても、「赤字は悪で黒字は善だ」というものである。第2は、「何か操作が行われなければ収支は均衡するはずだ」ということだ。

経常収支や貿易収支は、経済学の理解と一般的なそれとの違いが著しいものの1つだ。経済学の教科書には、「黒字が善で赤字が悪、というわけではない」と書かれている。国際収支のうち経常収支は、一般には企業収益と同じようなものだと認識されていることが多く、経常収支やその一部である貿易収支についても「黒字は儲けで赤字は損失」と考えている人が少なくない。

■経常収支の短期の赤字はまったく問題ない

トランプ大統領は、しばしば、米国の貿易収支が巨額の赤字となっていることについて、「米国が巨額の富を外国に奪われ損をしている」「雇用が奪われている」という趣旨の発言をしている。日本のメディアでも「経常収支は、日本全体が海外から『稼ぐ力』を表している」という説明はしばしば見られるし、経常収支の黒字幅が縮小すると「日本の稼ぐ力が低下したことの表れだ」というコメントが必ずといってよいほど出てくる。

しかし、そうした理解は正確ではない。

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