10年前の「反復」がもたらした日本のコロナ危機

10年前の「反復」がもたらした日本のコロナ危機

「根拠なき楽観主義による事態の過小評価」は日本の宿痾なのでしょうか(写真:まちゃー/PIXTA)

主権とはなにか、主権者とは何か、そして私たち日本人は本当に主権者たりえているのか。

そのような根源的な問いを投げかけた『主権者のいない国』(講談社)がこのたび上梓された。気鋭の政治学者、白井聡氏の同著より、その序章を抜粋して掲載する。

■破滅の淵を想起する

本書が店頭に並ぶ頃、あの3.11からちょうど10回目の春を私たちは迎える。この10年は、私個人にとっても、日本という国にとっても激動の歳月であった。本来政治思想史の研究者である私は、3.11をきっかけとして『永続敗戦論――戦後日本の核心』(2013年、太田出版/2016年に講談社+α文庫に収録)を書き、それ以降、現代日本政治に関する時事的な発言に踏み込むことになった。

それは、研究者・文筆家として思いがけない成り行きであったが、私を駆り立てたのは、「何とかしてこの国の崩壊を止めなければならない」という思いだった。

10年前、日本を襲ったのは、文字どおりの激震だった。巨大津波による被害だけでも筆舌に尽くしがたいものがあるが、経験したことのない種類の惨禍をもたらしたのは福島第一原子力発電所の過酷事故だった。

当時の不安な気持ちを思い起こすだけでも胸苦しさすら感じるが、それでもやはり振り返っておくべきだろう。

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