アメリカ経済に表れ始めた「ほころび」の深刻度

アメリカ経済に表れ始めた「ほころび」の深刻度

(写真:Bloomberg)

NYダウの最高値更新が象徴するようにアメリカ経済の回復ぶりが顕著だ。ワクチン接種と強力な財政・金融支援を受けて景気拡大が加速する「変曲点」にあると、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は指摘する。一方、インフレ懸念や長期金利の上昇が市場の波乱要因となっており、アルケゴス問題など金融面のリスクも顕在化している。

アメリカの景気や株式市場、金融・財政政策の見通し、GAFA問題や大統領選、米中対立に至るまで、世界の経済・政治動向に詳しいピクテ投信投資顧問の市川眞一シニア・フェローに聞いた。

■「雇用なき回復」で今年後半は減速へ

――アメリカ経済の現状をどう見ていますか。

新型コロナ禍で景気が急悪化し、金融システム不安も高まった昨年春からここまで目覚ましい回復を遂げた。回復を誘導したのが財政・金融政策。3月の小売売上高が前月比9.8%増となるなど、バイデン政権による給付金を含む1.9兆ドルの追加経済対策もあり、消費が盛り上がりを見せている。

ただ、今年後半には景気は減速すると見ている。理由は2つある。

1つは構造的な理由だ。失業率は昨年4月の14.8%から今年3月の6.0%まで改善したが、職に戻ったのは「一時解雇(レイオフ)」されていた人が大半を占める。一方で「永久解雇」となった人は昨年4月より今のほうが多い。

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