「経営者の報酬」を減らして最低賃金を引き上げよ

「経営者の報酬」を減らして最低賃金を引き上げよ

「中小企業の労働分配率は80%にものぼる。最低賃金を引き上げると倒産が続出する」と言われていますが、データを細かく分析すると、違う姿が見えてきます(撮影:今井康一)

オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。

退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行ってきた彼は、このままでは「@人口減少によって年金と医療は崩壊する」「A100万社単位の中小企業が破綻する」という危機意識から、『日本企業の勝算』で日本企業が抱える「問題の本質」を徹底的に分析し、企業規模の拡大、特に中堅企業の育成を提言している。

今回は、「日本は今こそ最低賃金を上げるべき」その理由を一から解説してもらう。記事の最後では、「中小企業の労働分配率は80%にのぼっているので、最低賃金は上げられない」という主張に潜む「欺瞞」をご紹介する。

■日本に必要な「3つの経済政策」

日本経済を回復させて財政を健全化させるには、(1)賃金の引き上げ、(2)企業の設備投資の増加、(3)生産的政府支出(PGS)という3つの経済政策の実施が求められます。

経済を構成する最大の項目は個人消費です。単純化すると、個人消費=人間の数×所得なので、人口が減少する日本では、何もしなければ個人消費総額は確実に減ります。所得の増加は、日本にとって死活問題です。

所得を増やすには、短期的には労働分配率を上げればすみますが、中長期的には、企業の設備投資が必要です。

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