なぜ世界中で「渋沢栄一」が研究されているのか

なぜ世界中で「渋沢栄一」が研究されているのか

2013年11月、パリのOECDカンファレンスセンターで開催された国際シンポジウム「Pioneering Ethical Capitalism」にて(写真提供:渋沢栄一記念財団)

明治時代から昭和時代初期にかけて、500以上の企業の設立に携わり、日本の近代産業の礎を築いた渋沢栄一。

渋沢は「論語と算盤」の言葉で知られるように、経済的利益だけでなく、公益(社会的利益)の両立をめざし、600もの社会事業に貢献したソーシャル・アントレプレナーでもあった。

渋沢はその思想を「合本主義」と呼び、公益を追求するという目的を達成するために最も適した人材と資本を集め、事業を進めることにあった。今日でいうSDGs(持続可能な開発目標)やCSV(共通価値の創造)の考え方を先取りしていたものといえる。

昨今、そうした渋沢の思想は世界的にも注目され、日米英仏の研究者による『グローバル資本主義の中の渋沢栄一』にもまとめられている。

本記事では、同書の著者の1人であり、長らく渋沢研究に携わってきた木村昌人氏が、海外で行われている渋沢栄一研究について解説する。

■金融資本主義の暴走の歯止めとして注目

渋沢栄一について海外で最も早く注目し、その本質を理解して称賛したのは、アメリカの経営学者ピーター・ドラッカー(1909〜2005)でした。

1960年代にドラッカーは、「経営者にとって最も大事なことは財力でも、地位でもなく、責任だと渋沢は考えていた」と語っています。

1 2 次へ

関連記事(外部サイト)