オードリー・タンを「絶望の淵」から救った人たち

オードリー・タンを「絶望の淵」から救った人たち

母・李雅卿(リー・ヤーチン)さんの手記『成長戦争』を手にするオードリー・タンさん(写真:筆者提供)

台湾のデジタル担当政務委員大臣オードリー・タンさん。今でこそ世界中のイノベーションの最先端を牽引する存在ですが、類まれな才能を持つギフテッドであるがゆえに、幼い頃は既存の教育体制に相容れなかったという過去もあります。

そんなオードリーさんを育てた母親・李雅卿(リー・ヤーチン)さんによってその全貌が綴られた手記『成長戦争』は、今から20年前以上の台湾で出版されてベストセラーになった後、現在は絶版となっています。

この度オードリーさんの公認を受け、『成長戦争』を引用・翻訳しながら現代向けに書き下ろされたノンフィクション『オードリー・タン 母の手記「成長戦争」 自分、そして世界との和解』から、オードリー・タンを「絶望の淵」から救った人たちについて、一部を抜粋してご紹介します。

■休学し、殻に閉じこもった日々に見えた光明

小学3年生で休学してから、オードリーはまるで「雷に打たれた後のウミガメ」のように頭や手足を縮めて硬い殻の中に閉じこもり、日々コンピュータや書に明け暮れていた。

そんなある日、李雅卿がオードリーを連れて散歩をしていると、家から歩いて20分ほどの山ぎわにある《指南(しなん)小学校》の校長にばったり遭遇し、立ち話の流れで校長からうちの学校に通わないかと誘われた。実際に訪ねてみると、人数も少なくこじんまりとした学校で、子どもたちも教師たちも良い雰囲気だ。

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