世界で高まる「ロシア嫌悪症」に注意すべきだ

世界で高まる「ロシア嫌悪症」に注意すべきだ

2022年3月下旬、ロシアと近い関係を持つセルビアの首都ベオグラードの通りに描かれたロシアのプーチン大統領。「兄弟」と添えられている。親ロ国家と「ロシア嫌悪症」を感じる国家で、新たな分断の壁ができようとしている(写真・2022 Bloomberg Finance LP)

非道な「住民虐殺」が明るみに出て国際的包囲網がますます狭まるプーチン政権だが、ロシア国民の高い支持が揺らぐ気配はない。この背景には、反戦論への強烈な締め付けで多くの市民が戦争の実態から目を背けていることがある。しかし政権を下支えする最大の「免震安定装置」は、何世紀にもわたってロシア国民の心の深奥に潜む「反西欧」の愛国心である。これを承知しているプーチン氏は国際的孤立を正当化する魔法の言葉≠巧みに駆使して、国民を引きつけるのに成功している。

魔法の言葉「ルッソフォビア」この魔法の言葉は「ルッソフォビア」。「ロシア嫌悪症」と訳されるが、19世紀以来の長い歴史がある言葉だ。最初にこの言葉を広めたのはフランスだ。当時大国として勃興していたロシアに、ナポレオンが侵略することを正当化するために使い始めた。ロシアが異文化であり、西欧への脅威であることを訴えたキャッチフレーズだ。次第にロシア脅威論の象徴として、この言葉はイギリスやドイツにも広まった。

その後、次第に使われなくなっていたこの言葉を政治の主舞台に復活させたのはプーチン大統領だ。ウクライナへの侵攻を事実上宣言した2022年2月21日の演説でもこう使った。「ウクライナ社会は極端なナチズムの拡大を受けて、攻撃的なルッソフォビア色を帯びた」と。プーチン大統領はゼレンスキー政権を「ネオナチ政権だ」と一方的に攻撃し、非ナチ化を侵攻の理由の1つとして掲げた。

1 2 次へ

関連記事(外部サイト)