アメリカ「中絶反対派」がこんなにも強力な理由

アメリカ「中絶反対派」がこんなにも強力な理由

「中絶は殺人だ」と語るバーバラ・スミスさん。筆者が暮らしていたミシガン州の小さな町では絶大な影響力を持っていた(写真:筆者撮影)

アメリカで中絶をめぐる激しい議論が巻き起こっている。きっかけとなったのは、人工中絶の権利を認めるアメリカ最高裁の判決「ロー対ウェイド裁判」が覆る可能性があるという情報が漏えいしたことだ。近く最高裁の最終意見が出るとみられる中、アメリカでは著名人も巻き込んだ「プロチョイス(人工中絶擁護派)」と「プロライフ(中絶反対派)」の戦いが激しくなっている。

一方、日本では人工中絶には配偶者の同意が必要とする母体保護法に対する批判が強まっている。アメリカを含む多くの国では、女性が妊娠、出産、中絶など性や子どもを産むことを選択・決定できる「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)」が認められているが、日本ではまだこの意識は低いと言わざるをえない。

アメリカでの論争はけっして日本人に関係がないことではない。個人が「中絶」を選ぶ権利が、なぜ裁判所と政治を巻き込む社会問題となっているのか。本稿ではアメリカの新聞社で現地コミュニティを取材してきたジャーナリストの長野美穂氏がその背景をお伝えする。

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