「小説の新人賞」に"根拠なきモテ設定"が多いワケ

「小説の新人賞」に"根拠なきモテ設定"が多いワケ

応募作の中で結構な割合を占めるという〝根拠なきモテ小説〟。プロはどう読んでいるのか(写真:prathanchorruangsak/PIXTA)

今どきの小説に登場する人物のキャラクターを見ていると、いささか現実離れしたキャラクターが多いようだ。もちろん、そこは読者へのアピールポイントだから、一概にリアリティーだけが大事だというわけでもないだろう。

しかし、新人賞レベルになると途端に、「そんなキャラいないよ!」と突っ込みたくなるような作品も少なくないという。特に、これといって取柄のない主人公の男性(あるいは女性)が、なぜか異性にモテまくる〝根拠なきモテ小説〟。応募作の中で結構な割合を占めるというが、こうした作品が賞を獲得するのが難しいのは言うまでもない。

巧拙はあっても、小説には大なり小なり「たくらみ」があるものだ。こうしたキャラの問題からストーリー構成まで、書き手はどんなことに気を配るべきか、そしてプロはどう読んでいるのか――宮部みゆき氏や高村薫氏らの担当をつとめたベテラン編集者で、現在は創作講座の名物講師でもある佐藤誠一郎氏の新刊『あなたの小説にはたくらみがない』から抜粋して紹介する。

女が描けない男性作家たちその昔、と言っても四半世紀前の20世紀末までの話である。文学賞の選考会では必ずと言っていいほど、「女が描けてない」と評されて落選の憂き目を見るケースが絶えなかった。私の担当作家でいえば、山口瞳氏などが直木賞選考会で使った表現である。

山口氏は、市井の女性や、当時の言葉でいう「職業婦人」を描くことに長けた作家だから例外だが、このほかの大家たちがどれだけ世の女性たちの実態を知っているか、怪しいものだと当時から私は思っていた。何故なら、こうした大家と言われる男性作家たちがよく知っている女性って、水商売の人たちばかりだからである。

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