東日本大震災の記念施設で現代美術が果たす役割

東日本大震災の記念施設で現代美術が果たす役割

「南三陸311メモリアル」外観(撮影:小川敦生)

いくつかの裸電球が吊り下がった薄暗い空間に、使い古されたようなたくさんのブリキ缶が積まれている。はたしてそれは何を意味しているのか。あるいは、何かのメッセージを発しているのか。鑑賞者はそんなことを思い浮かべながら、ブリキ缶と静かに向き合うことになる。今年10月1日、宮城県南三陸町にオープンした「南三陸311メモリアル」(設計:隈研吾)で公開された、フランスの現代美術家クリスチャン・ボルタンスキー(1944〜2021年)の作品「MEMORIAL」だ。

「南三陸311メモリアル」の建設の目的は、2011年3月11日に起きた東日本大震災の記憶を町に改めて刻むことにある。ボルタンスキーには、もともと南三陸町との交流や関係があったわけではない。では、なぜその作品が施設に必要だったのか。どんな経緯で依頼し、制作と設置が実現したのか。本記事ではそうしたことを追いながら、現代美術が社会で果たす役割について考えたい。



同町の佐藤仁町長は「南三陸311メモリアル」について、「震災から年月を経ると、人々の記憶はだんだん薄れていく。さらに世代が変われば体験者がいなくなる。震災のことを後世にどう伝えていくか。その課題に取り組むための施設として開館した」と話す。佐藤町長は東日本大震災の津波発生時に「防災庁舎」と呼ばれる建物の屋上におり、多くの人が目の前で流された中で九死に一生を得た経験を持つ被災者でもある。

続きは 東洋経済オンライン で

関連記事(外部サイト)