トランプのパリ協定離脱で深まる分断と孤立

トランプのパリ協定離脱で深まる分断と孤立

「パリ協定を参加国すべてが履行しても、2100年までに温度は0.2度(摂氏)しか低下しない、ほんのわずか」とトランプ大統領は語ったが、マサチューセッツ工科大学は誤った引用だとしている(写真:Abaca/アフロ)

6月1日、トランプ大統領が米国はパリ協定から離脱すると発表して、大きな波紋を引き起こしている。日本のメディアは連日多くの紙面と時間を割いて、その影響を分析、報道している。だがトランプ大統領がなぜパリ協定離脱を決定したのか十分に日本の読者に伝わっているとは思われない。

■科学的な問題ではなく思想の問題

トランプ大統領の決定を理解するためには、アメリカ国内で地球温暖化問題がどのように議論されてきたかを知る必要がある。アメリカでは、地球温暖化問題は科学的な問題であるよりも、思想問題であり、経済問題であり、政治問題なのである。5月31日付の『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、「アメリカのパリ協定からの離脱はアメリカの経済的な利害の問題であって、気候変動の問題とは関係ない」と書いている。

アメリカの保守派や共和党議員の多くは、気候変動問題とはリベラル派による陰謀であると否定的な立場を取り続けている。トランプ大統領も大統領選挙中に「気候変動問題は中国がアメリカ産業を弱体化させるために主張しているでっち上げである」と公然と主張していた。さすがに中国を悪者にする主張のいい加減さに気づいたのか、トランプ大統領は後になって、その発言を取り消している。

ただ、現実問題として、トランプ大統領が地球温暖化問題を十分に理解しているとは思えない。パリ協定離脱後に開かれたホワイトハウスの記者会見で、記者から「トランプ大統領は今でも地球温暖化は"でっち上げ"だと信じているのか」という質問が出たが、スパイサー報道官は「その件に関して大統領と話したこともないので、大統領がどう思っているかは知らない」と、逃げを打つような答弁をしている。

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