「脱サラしてパン屋」になった人たちの事情

「脱サラしてパン屋」になった人たちの事情

會ベーグルの看板商品はプレーン150円。地元の在来野菜を使った荒久田茎立ベーグル・会津小菊かぼちゃベーグルが各190円、ベーコンチーズペッパー240円など常時約30種類(写真:筆者提供)

2015年9月、福島県会津若松市に開業したベーグル専門店「會(あい)ベーグル」。生地の材料は国産小麦、砂糖、塩、パン酵母と水、と実にシンプルだ。「10年ほど前、東京に出張したときに初めて食べたベーグルが、普通のパンと違ってモチモチしていて、すごくおいしかった」と振り返る店主の佐藤裕一氏(55)は、もともと外資系の半導体企業に勤めていたサラリーマンである。

東京出張後、ベーグル店めぐりをするほどハマッていた佐藤さんが、ベーグル屋を始めるきっかけとなったのは、リストラ。以前から「今後会社がどうなるかわからない。残りの人生は自分で何かやりたい」と考え、妻に相談したこともあったが、子どもが中高生だったため、断念した過去もある。

佐藤さんが店を開く前、会津若松にはベーグル専門店はなかった。「50代以上の人は『ベーグルってなに?』という状態。会津の人たちに、ベーグルを知ってほしい」という強い思いが佐藤氏にはある。開業から2年弱。当初はめずらしさから人が集まり、午前中に売り切れる日もあったが、その後売り上げは、増えたり減ったりのくり返し。今年5月の時点で「ギリギリだけど食べていける」程度で推移している。

■100日コースは約64万円

近年、佐藤氏のように脱サラし、パン屋を開業する人が増えている。パン及びパン関連業界が出資・運営する日本パン技術研究所(パン技研)の原田昌博氏によると、東京・西葛西にあるパン技研が開くパン学校の受講生の多くは製パン会社などに勤める人だが、1割ほどは個人だという。

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