前代未聞の大事件「PC遠隔操作事件」の顛末

前代未聞の大事件「PC遠隔操作事件」の顛末

風化してしまう前に、この事件を今あらためて検証する(写真:naka / PIXTA)

事件ノンフィクションと呼ばれるジャンルの醍醐味が、存分に味わえる一冊だ。この事件の何に対して自分が釈然としない思いを抱いていたのか、その正体が嫌というほど見えてくる。その実像は、事件当時に見知っていた情報とは大きく異なる印象があった。

PC遠隔操作事件とは、2012年6月から9月にかけて14件もの殺害・爆破予告がなされた事件である。JAL便の爆破予告から、小学校の襲撃予告、はたまた有名子役や人気タレントグループ襲撃予告までとターゲットは幅広く、世間を震撼させた。

逮捕されたのは、IT関連会社社員で当時30歳の片山祐輔という一人の青年であった。本書『PC遠隔操作事件』では、事件発生からの全過程を克明に記録し、事件の中からあぶり出された課題を、今あらためて検証しようと試みている。

■前代未聞の複雑な大事件

本書のスタンスが特徴的なのは、この事件が本当にこれほど騒がれるようなものであったのかという点から出発しているところだ。結局一連の殺害・爆破予告において、実行に移された犯行は1つもない。見方を変えれば、この事件は非常に質の悪い悪戯であったと言っても過言ではないのだ。

それを前代未聞の複雑な大事件へと変貌していったのは、いくつかのターニングポイントにおいて、警察、メディア、社会による小さなボタンの掛け違いが毎度のように起こってしまったからである。そういった意味で、これはネットというアンコントーラブルな増幅装置の影響を抜きにしては、語りえない事件であった。

続きは 東洋経済オンライン で

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