買春エリート夫の「家庭のため」という言い分

買春エリート夫の「家庭のため」という言い分

「わかってないな、おカネを払うから自分の身を守れるんだ」(写真:Yayimages / PIXTA)

華やかなグローバル都市ニューヨーク。ウォール街の金融エリートや新進気鋭のアーティストが活躍する一方、売春婦、移民、ヤクの売人たちもしのぎを削り、セレブと貧困層とが社会階層を超えて共存している街だ。その実態を描いた『社会学者がニューヨークの地下経済に潜入してみた』が刊行された。

本書の著者スディール・ヴェンカテッシュは、ニューヨークの貧困層を中心に社会学者として研究を進めていたが、街全体の本当の姿を知るには、中流や上流の実態も知る必要があることに気づく。

ここでは、ヴェンカテッシュが研究に協力的な「高級売春婦」キャシーの尽力によりエリート買春客マーティンをインタビューすることになった箇所を本書から抜粋し、一部編集のうえ掲載する。

■これまで研究していなかった買春客の側

キャシーは彼女らしい興奮した口調で叫んだ。「あたしのお客があなたと話したいって!」

「君を買う人ってこと?」

「マーティンっていうの。ほんとにいい人だよ」

これには驚いた。買春客の側は、セックスの売買でぼくが研究してない側面だった。ヤクの売人や風俗嬢相手にやることがもう山ほどあったし、たぶんぼくは、おカネを払ってセックスすることについて話したい男なんてあんまりいないだろうと高をくくっていた。

でもキャシーによると、彼女はマーティンに、ぼくはとても心が開けていて、犯罪者みたいな扱いを受けたことは一度もない、ずっとそう話してくれていたそうだ。

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