38歳、元阪神投手の公認会計士が悟った真実

38歳、元阪神投手の公認会計士が悟った真実

現役時代の奥村氏。制球力の高さが武器だった(写真:『月刊タイガース』) 

今年7月、1人の公認会計士が誕生した。難関の公認会計士試験に合格後、今夏、監査法人での2年間の実務を終えて、公認会計士として認可されたのだ。難関とはいえ、公認会計士の合格者数は年間1000人超。ただ、彼のキャリアはひときわ異色だ。プロ野球、阪神タイガースに1997年ドラフト6位で指名され、投手として在籍した元プロ野球選手なのだ。元プロ野球選手が公認会計士になるのは初の快挙。新たな夢を叶え、第一歩を踏み出した奥村武博氏が、決して平坦ではなかった道のりを語る。

今から4年前の2013年11月。その瞬間、思わず「あった!」と声が出た。公認会計士・監査審査会のサイトに掲載された「平成25年公認会計士試験」の合格者一覧に、自分の受験番号が載っていたからだ。信じられない気持ちで、何度も何度もサイトと受験票の番号を見返した。

プロ野球選手を引退して12年、公認会計士を志してから9年の月日が経っていた。合格がわかった瞬間、うれしさよりも先に湧き上がったのは「ほっとした」という感情。短いとは決して言えない時間で、勉強を続けながら考えたのは、アスリートのセカンドキャリアについてだ。

僕のようなケースが、現役プロ野球選手をはじめとするスポーツ選手がキャリアを形成するうえで、何かのヒントになれたらうれしい。試験合格から4年、今夏から公認会計士として歩み始めたタイミングで、これまでを振り返ってみたい。

■戦力外通告の衝撃

2001年、9月も終わりにさしかかった頃、練習を終えて部屋に戻ると、ふだん鳴ることのない内線が鳴った。

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