英のEU離脱、北アイルランド特別扱いしかない

英のEU離脱、北アイルランド特別扱いしかない

2019年4月10日にベルギーのブリュッセルで開かれたEU首脳会議で、イギリスのメイ首相(右)と欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長(写真:Anadalu Agency/Getty Images)

イギリスの欧州連合(EU)離脱、すなわちブレグジットはいまだに迷走が続いている。テリーザ・メイ首相がEUと合意した離脱案は英議会で承認されず、今年3月末に予定していた離脱は最長で10月末まで延期されたが、まったく先が見えないままだ。

5月23〜26日の欧州議会選挙も迫る中、今後どんな展開が予想されるのか。また、日本企業はどう対応すべきか。国際経済学が専門で欧州情勢に詳しい白井さゆり・慶応義塾大学総合政策学部教授(元日本銀行政策委員会審議委員)に聞いた。

■メイ首相にはEU離脱後のビジョンがなかった

――これまでのブレグジットをめぐる迷走をどう見ていますか。

ことの発端は2016年6月23日に実施された国民投票にある。当時のデーヴィッド・キャメロン首相は2013年に、次の総選挙で与党・保守党が勝てば遅くとも2017年末までに国民投票を行うと約束し、2015年の総選挙で大勝したことで国民投票をやらざるをえなくなった。

それでも「EU残留」で決まると高をくくっていたが、結果は52%対48%という僅差で「EU離脱」となった。

イギリスはつねにアメリカとの経済関係を重視し、文化・思想的にもアメリカに近く、規制の縛りが多いEUとはもともと距離感がある。EUに対する拠出金の負担の重さについても、拠出金に比べ見返りが少ないため批判が強かった。

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