泥棒と呼ばれた男、笑福亭松喬の野太い生き様

泥棒と呼ばれた男、笑福亭松喬の野太い生き様

笑福亭の十八番と言われる落語の1つである「三十石」を演じる笑福亭松喬(写真:笑福亭松喬師匠提供)

一般社会で他人を「泥棒」呼ばわりすれば、喧嘩になるだろう。ネットに書き込めば名誉棄損に問われかねない。しかし、芸能界では「泥棒」は、時と場合によっては「褒め言葉」になる。

明治時代の二代目松林伯圓(しょうりん はくえん)という講釈師は、「白浪物(泥棒が主役の狂言)」を続きもので読んで「泥棒伯圓」と呼ばれ大人気になった。

現代にも「泥棒」の異名をとる落語家がいるのをご存じだろうか?

七代目笑福亭松喬(しょうふくてい しょきょう)という上方の師匠だ。2017年までは「三喬」を名乗っていたので「泥棒三喬」と呼ばれた。手が早かったわけではもちろんない。泥棒が主人公の噺を得意としているからだ。

■泥棒は描くが、悪人は描かない

「『泥棒三喬』と呼ばれるようになったきっかけは?」と聞くと、目の奥がちょっと笑った。

「やっぱりこの、角刈りの風体がそう見えるというのが大きいですね。(口の周りに)丸描いたらカールおじさんに見えるとか言って笑いをとります」

芸能人は刑務所の慰問によく行く。松喬も加古川刑務所に28年連続で行っているが、他の噺家とは少し公演の趣旨が違っているのだと言う。

「ほかの芸人さんは“慰問”、入所者のお楽しみなんですが、僕だけはなぜか“教育”の部門から呼んでいただきまして。

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